Tweiiter of Hocuspocus_Mage The Starry Abode

How to use 吊り香炉

吊り香炉(censer)は儀式魔術に於いて比較的使用頻度の高い魔術武器である。単なる香炉の役割に留まらず、火による聖別の場面や薔薇十字の儀式で印形を描いたり、場合によっては火の象徴として祭壇に置かれたりする、非常に汎用性の高い魔術武器である。
ところがコイツは、色々な意味で、ヤキンとボアズの柱*1に次いで最も厄介な魔術武器でもある。
まず、日本では入手が結構面倒だ。日本の魔術ファンの中では、写真では見た事があるが実際には触った事が無い、という人が殆どだろう。最近多いアロマ関係の店ではあまり手に入らないし、教会用品の吊り香炉は扱っている店自体が少ない上に割とお値段が張る。据え置き型の香炉に鎖をつけて自作するというのも一つの手段だが、バランス良く鎖を付けるのに丁度良い香炉を探すのもかなり大変だ。
また、火を付ける時も結構苦労する。湿気の多い日本ではチャコール(点火用木炭)になかなか火が付かない事もしばしば。チャコールの下に入れる断熱用の砂も面倒臭い*2。更に火が付いたら付いたで非常に熱くなる時があり、下手な場所に置くと火事の元になる。
特に教会用品の吊り香炉は、元々吊って使うように設計されているので、吊らずに祭壇の上に置く時などは鎖の取り扱いがすこぶる面倒である。鎖が絡まったりするのはまだマシな方*3で、鎖が机から滑り落ちてバランスを崩し香炉が倒れる危険もある。魔術武器が所狭しと並ぶ祭壇上の猫の額程の『鍋敷き』の上で香炉を離着陸させようとして、『神』を召喚する以上に神経が消耗してしまうこともしばしばある*4
と言う訳で、これから集団儀式などで吊り香炉を使う人達、或いは吊り香炉を使う儀式を創作する人達への忠告とお願いを以下に・・・

  1. 香炉の取り扱いに慣れていないドジっ子には絶対に香炉を扱う司官をさせてはならない。一般的に言えば、グループの中であらゆる司官を万遍なく経験させるようにローテーションさせていくのが理想だが、儀式の中断や物損や火事や火傷の危険を冒してまで火の司官を経験させるのは如何なものか。『火』は元々、それを取り扱える胆力と技量を備える人間だけが扱える聖なるものだった事を忘れてはならない。火の司官希望のドジっ子は「ワタシ、火の司官がやりたいんですぅ〜」と言う前に、毎日香炉の開け閉め、上げ下げ、素振り千本の特訓をするように。
  2. 吊り香炉は出来るだけ吊っておくこと。儀式中、直接手にとって使わない時も、香炉に火と香を入れる時も、出来る限り鎖を吊るようにした方が良い。教会用のものならば吊った状態で開閉が可能だ。また鎖を吊っておく事で香炉の転倒防止にもなる。
  3. 儀式場の香炉の置き場には、出来るだけ鎖を吊す為のフックを用意すること。
  4. 鎖が吊れない時は、祭壇や机に『鍋敷き』と鎖を置く為のスペースを確保すること。鎖を下手に机や祭壇に下ろすと絡まって悲惨な目に遭う危険が増大するが、出来るだけスペースを広げることでその危険を減らすことができる。また、香炉を置く『鍋敷き』は、香炉が安定して置けるように平らで薄く面積の広いものを用意しよう。
  5. 香炉は『火』を象徴する武器なので水洗い不可だ。水をかけて火を消すのは論外。後始末まで考慮して、御利用は計画的に。

*1:柱はとにかくデカイからねえ・・・

*2:私は面倒以前に入れること自体をよく忘れます・・・orz

*3:私は今までこの手のトラブルに遭わなかったのだが、この前初めてやらかした。蓋がしまらない状態で聖別をやったのでとっても格好悪かったです、はい。

*4:どちらかというと運動神経ではあるが・・・