Tweiiter of Hocuspocus_Mage The Starry Abode

西洋魔術における肉体訓練

西洋魔術において肉体訓練が不足していることは以前に書いたが、先日紹介した_Modern_Magick_の『チベット体操』のように、欧米では東洋の訓練を持ってきて補なおうとする人達がそれなりに居るようだ。
Thelma系列では_Yoga_for_Magick_ *1という本があるが、内容はWii Fitのカリキュラムの中にもあるヨーガの代表的エクササイズ、『太陽礼拝』の紹介である。
何れの訓練も継続して行うことが出来れば非常に有用であることは間違いない*2。特に今までスポーツなどで体を虐めた経験の無い人が魔術を始める場合、呼吸や座法などでトラブルを引き起こす場合が少なくない*3。姿勢維持や呼吸で使うようなインナーマッスルはウェイト・トレーニングでは鍛えにくいが、ヨーガやチベット体操を行えば比較的無理なく鍛える事ができる。*4
また、WEバトラーが『中央の柱』の訓練に関する記述で示唆しているように、魔術的パワーの基盤は魔術師の肉体の内分泌系にある。体幹部のインナーマッスルは精力とも関係してくるので、これらの訓練が魔術的パワーの維持・増大に役立つことは言うまでもない。
ただし、姿勢や呼吸などで使う筋肉は日常でもそれなりに使っている訳であるから、ウェイト・トレーニングのように2、3日おきに激しい負荷をかけて筋肉痛になる訳にはいかない。毎日少しずつ鍛えていく必要がある。よって、

  • 毎日続けられる事、
  • それが習慣となってもストレスにならず苦痛でない・・・いや寧ろ、毎日行う事が心地よいこと、

それが魔術に於ける肉体訓練の必要条件であろう。*5

*1:

Yoga for Magick (Weiser Concise Guide Series)

Yoga for Magick (Weiser Concise Guide Series)

*2:私個人は最近はチベット体操とヨーガの併用を試しているが、基本は(ハタ)ヨーガに置いている。私が肉体訓練として(ハタ)ヨーガを重視する理由は、そのバリエーションの多さにある。人間は、骨格も体質も、悩みも当に人それぞれ。従って肉体のアンバランスさの加減についても人それぞれである。チベット体操のような筋力トレーニングは最低限鍛えるべき部位を鍛えているので、これはこれで有効だが、個人毎の事情に合わせることの出来るバリエーションは無い。しかし(ハタ)ヨーガにはそれがある。

*3:四拍呼吸で過呼吸になったりとか・・・ゆっくりとした大きな呼吸をした事がない人はそうなってしまうようだ。他にも腹式呼吸が上手く出来ず胸式呼吸に頼るため背中の筋肉がガチガチに凝ってしまう人とか、姿勢を一定時間保持するのが困難な人とか・・・要するに「体が出来ていない」、大きな呼吸をしたり姿勢の維持をする為の筋肉が充分に発達していない、ということなのだと思う。

*4:お茶やお花でも結構鍛えられるようだ。武道における礼法もインナーマッスル訓練法の一種であろう。

*5:アスリートとして日頃からトレーニングしている人にはヨーガやチベット体操だけでは物足りないだろう。そういう人は自分なりの魔術に適したトレーニングを行えば良いと思う。