メイド喫茶の霊的進化
メイド喫茶は風俗店か否か、という議論がインターネット上で数多く見られるように、メイド喫茶は通常の飲食店と風俗店の境界に居る。しかし通常は風営法*1には引っかからない。
現在のメイド喫茶ブームと似たような状況は、凡そ２０〜３０年位前にもあった。所謂「ノーパン喫茶」ブームである。初期のノーパン喫茶はパンツを履いていないウエイトレスが給仕をするだけの店で、当時の風営法の対象範囲外*2であり、素人娘や素人経営者が沢山この業界に入っていった*3。ここまでは状況が非常に近い。
つまるところ、メイド喫茶は男性オタク向けのライトなノーパン喫茶と言っても良いだろう*4。ノーパンとメイド服は違う！という意見もあるだろうし、また雰囲気という観念的なものを売りにしており必ずしも男性向けオンリーの商売とは言えないだろうが、このブームを支えているのは男性オタクの下半身エネルギーである事は間違いない*5。
以上を踏まえて、メイド喫茶の将来についてノーパン喫茶が辿った歴史と比較しながら考察してみよう。
ノーパン喫茶の場合は、ブームの加熱化によって徐々に従業員の「質」の確保が厳しくなる一方で、店の差別化の為にサービスも次第に風俗方面に過激化する道を辿って行った。そして人気オプションサービスであった「抜き」が1985年の風営法改正によって規制される事により、人件費や料金が高騰し過ぎていたノーパン喫茶はごく一部の店を残して潰れてしまうのであった*6。
ではメイド喫茶はこれからどうなるのだろうか。恐らく客単価が低く値上げできる余地も少なく対象となる客層もあまり広くないメイド喫茶業界には近い内にノーパン喫茶と同様の経済危機が訪れるであろう。だがメイド喫茶は観念的なサービスを売りにする分、ノーパン喫茶のように殆ど全ての店が性風俗一色に染まるという事は考え難い。恐らく、様々な方面に多様化・分化してニッチな需要を捉えてしぶとく生き残っていくのではないかと私は考えている。既に幾つかの店は無線LANやモバイル機器の電源補給サービスを行ったり、セラピー産業方面に進出したりしつつあるので、ノーパン喫茶の場合程には急速に廃れないだろう。
ここからが本題であるが、メイド喫茶の中の人たちには、そういったメイド喫茶の多様化の方向の一つとしてスピリチュアルな雰囲気のコーディネートを考えて欲しい。
どういう事をするのか？というと、例えばアロマセラピー、或いは「７７７」のような魔術の万物照応表といった体系を駆使して、その日毎に、香、花、照明、音楽、内装、オススメのお茶などを統一的にコーディネートし、客に癒しとインスピレーションを提供するのである。お金が掛かりそうだが、創意工夫でかなり安く出来る。また多くの香には除虫・殺虫効果もあるので、お店の清潔度もアップできて一石二鳥である。*7。
萌え経済アナリスト森永卓郎先生が仰っているようにメイド喫茶に於いては客にも店員にも疑似恋愛的ファンタジーを演じる事が求められる*8。そこで香や音楽によって日常と違う刺激を受ける事で、そのメイド服の奥底にあるビクトリア朝時代のエロティシズムのエネルギーを癒しやインスピレーションに昇華する方向へと導くのである。
嘗てのノーパン喫茶は日常性の中での非日常の光景が得られる場であった*9が、メイド喫茶は抑制が効いている分、より自由に非日常を演出する事が出来る。そういう店があれば毎日でも通ってメイドさんとふれあいたい（←結局それかい）。
（９／６文章に色々と手を入れる。論旨に変更は無い。）
*1:http://www.houko.com/00/01/S23/122.HTM http://www.cozylaw.com/fu-teki/futeki-r.html ただし下手なイベントをやると引っかかる可能性は大きい。
*2:現在の法律でも給仕だけなら引っかからない？
*3:http://www.kanroshobo.com/KANROKANRO/ARAKI/ARAKI-BOOK/tokyoluckyhole.html
*4:実質的な業務内容としてはキャバクラに近いのだろうが、立ち位置としてはノーパン喫茶に近いだろう。
*5:このアンケート（http://www.geocities.jp/shou2010/examination/result01.htm）を見よ。また、一部に床に鏡がある店が在る事もノーパン喫茶と一緒だ。
*6:アダルトサイト注意！http://www.ygm-web.com/~3x/modules/tinycontent2/content/index.php?id=3
*7:余談だが、魔女術の人達はこういうコーディネートが非常に上手だ。
*8:http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/colCh.cfm?i=t_morinaga76
