Tweiiter of Hocuspocus_Mage The Starry Abode

リズムと魔術の関係についての雑感

それゆえ音楽はけっしてほかのもろもろの芸術のようにイデアの模造ではなく、意志そのものの模造なのである。(ショーペンハウアー著『意志と表象としての世界』第三巻52節;斎藤忍随訳)

先日魔術仲間と呑んだ時に「魔術実践してるロック・ミュージシャンって欧米では結構多いね。でも日本では・・・」という話になった*1。中世以降の欧米のサブカルチャーの老舗である魔術と現代のサブカルチャー音楽の象徴ともいうべきロック*2の相性が良いのはある意味当然なのかもしれない。しかし日本のロック界はディープなオカルト文化には染まっていないようだ。
その理由としては色々と考えられるが、日本では漫画やアニメがサブカルチャーの中心を担っており、視覚的イメージの活用という意味でそれらと魔術が競合関係にあるのかも・・・という気がなんとなくするが根拠はない。
ただ、魔術とロックは共に身体を使った表現、特に発声とリズムが大きな割合を占める、という意味で共通する部分が多いのかもしれない、とも思う。
日本で手に入る魔術入門書などでは基本中の基本である四拍呼吸やマントラ瞑想で必須要素であるリズム感についての記述は少ない。しかし、儀式中に台詞を語る時あるいはサインを形作ったり印形を描く時にリズムを明確に意識する事によって表現力が格段にアップするし、太鼓を叩いたりダンスが入ったりする儀式なんかも沢山あるので実践には欠かせない要素であることは間違いない。
という訳で、魔術実践者はロックでもクラッシックでもジャズでも民謡でも演歌でも何でも良いから好きな音楽を聴こう*3。そして、ただ耳を傾けるだけではなく、音楽にノって体を動かしたり歌ってみたりすると、楽しい上に魔術の訓練にもなって一石二鳥だと思うのだけど・・・あんまりそういう意見を見ないのでちょっと寂しい。

*1:その席で前からちょっと気になっていたスロベニア/イタリアのバンドDevil Dollの話題が出てきたのだが、後日あるサイトで「ザッパの『グレガリー・ペッカリー』とマイク・オールドフィールドの『アマロック』とMAGMAが好きなら買うべき」という評を読んだので、4作目と5作目を買ってしまった。千の声を持つ男Mr.Doctorのボーカルが中々面白い。お陰でここしばらく収まっていたイタリアン・ロックのマイブームが再燃してB級黒魔術バンドJaculaのアルバムを注文してしまった。しかしDevil Dollってしばしば「ゴシックメタル」に分類されるみたいだけれど、これってメタルなの?曲は長いけど、元祖ヘビィ・メタルである大バッハのオルガン曲と比べるととってもポップに聞こえる。最近の若い人の音楽のジャンル分けは良く判りまへん。

*2:ラノベ作家・喪男評論家の本田透氏が、イギリスからのインタビュアーに「貴方は何者?」と問いかけられた時に「(モリッシー率いる)The Smithsみたいなものです。」と答えたら即納得された・・・みたいな話をどっかに書いていたのだが、何処かは忘れた。要するに「イケてない連中の為のイケてない表現」それがロックの本質だ。AC/DCみたいなムサくて垢抜けないオッサン達が世界中で馬鹿売れするのは彼らが当にロックの王道を歩んでいるからであるが、日本では何故か「ロック=格好良い」という酷い誤解に基づいた馬鹿馬鹿しい少女漫画が人気があったりする。そういう馬鹿話を本気にするスィーツ脳共はデトロイト・メタル・シティを読んでクラウザーさんにfuckされて自らの性根を叩き直せ。

*3:飲み会で「何か良いバンドはないですか?」とか戯けた事を聞いていた某フラターはフランク・ザッパ の『You are what you is.』を100回程聴いて反省するように・・・って冗談だけど。音楽の好みとはある意味自分の本質的な嗜好でもあるので、他人に聞くモンじゃなくて自分で探すものだ。人に尋ねる前に先ずどんな感じの曲が好きなのかを明確にしてから聞けやゴルァ!