Tweiiter of Hocuspocus_Mage The Starry Abode

19世紀における魔術師像とエリファス・レヴィ:起

ちょっと前の2chの魔術スレッドで、GDの教義文書で提示されるような清貧な修道士のような魔術師像はいつ造られたのか?という話題が挙がっていた。
勿論、それが古代のカバラのラビ達に始まり中世〜ルネッサンス期の様々なキリスト教の聖人伝説や錬金術師・魔術師達の逸話の集大成である、という事に異論を挟む人はまずいないだろう。しかし、そう言った古い物語はその時代の感覚からズレているが故に、多くの人々には単なる時代遅れの迷信としか見なされない事が多い。
その時代遅れのガラクタの山に息吹を与え19世紀の魔術師像としての命を与えたのが「魔術中興の祖」エリファス・レヴィである、と私は考えている。
レヴィがまとめ上げた魔術理論は「欲望に囚われない清貧な者が、それ故に2つの対立する力の調和を自由に操る力を身につけ、錬金術の大作業たる魔術の業を完成させる。」というものである*1。レヴィがこの考えをどのように提示したかについて、以降のエントリで検証していこう。
(続く)

*1:私見だが、これはChaos Magickの『Neither-Neither』に通じるところがあると思う。更に言えばChaosで言うところの『Neither-Neither』は1神教的な拘りに対するアンチテーゼであって、日本人的感覚では寧ろ当たり前の事、即ち「いい加減」ではないかと思う。ただしそれは仏教でいうところの中庸ではあっても、「どっちつかず」といった悪い意味でのいい加減ではない。