Tweiiter of Hocuspocus_Mage The Starry Abode

オーラが見えるなら、あなたは霊能者ではないかもしれない(後編)

2.であるが、例えば『手かざし』をしている人をオーラ視の要領で眺めたり、両手の指先の間を同様に眺めたりすると、湯気の流れのようなものが見える。
人間の体の周囲には、体から発せられる熱(赤外線)及びそれによって動く体内からの水蒸気や廻りの空気の流れなどが存在しており、それらは人間がよく観察すれば五感で充分感じる事ができるものである。これと同様のものは、例えばストーブの表面にも見る事ができる*1
ここで注目しておきたいのは、しばしばオーラとの関連について言及される所謂キルリアン写真との関係である。キルリアン写真については既に良くまとまったレポート*2があるが、それによるとほぼ物理的に説明できる現象(コロナ放電)だそうだ。何せ人間の手よりもお湯を入れたゴム手袋の方が綺麗な『オーラ』が撮影できるのである。この放電に最も関係しているのが水蒸気であり、手の状態によって放出の具合が大きく異なるものと思われる。
また、気功の研究に於いては、施術者の発『気』イメージ中に手の表面温度が下がるという実験結果*3があるが、これと併せて考えると、手の表面から気化熱を奪う事によって大気中に放たれる水分の役割がかなり関係しているのであろう。
いずれにせよ、この辺りは気功の科学的研究と関連した実験結果が今後沢山出てくるものと期待される*4ので、あと何年か経つともっとハッキリした事が言えるものと思われる。
では、3.について。アストラル体に直接関係する事である。
あらゆる動物は、生まれてからすぐに体の移動に伴う視覚や聴覚或いはその他の体感覚を学ぶ事によって、運動と3次元世界の中での体の位置の移動と外界との関係について把握ができるようになる*5
この感覚が更に発達してくると、例えば直接見なくても何時も通る道の段差を自然に乗り越えたり、後ろから突然殴りかかって来る相手を反射的に蹴り飛ばしたり、視覚の確認に頼らずに障害物や他者との位置関係を把握して適切に処理できるようになる。
この人間が認知する身体の廻りの空間は、所謂オーラのように人体を覆うように広がっている(ただし訓練が不充分な人は充分に注意を行き渡らせる事ができない)*6。これが心理学で言うところの(Robert Sommerの)パーソナルスペースである。
身体感覚と距離感覚、そして観察能力が向上すると、自分だけでなく他人についてもこの空間認知の様子が判ってくる。例えば相手が手の届く領域、注意の行き届いている領域、或いは手が届かないとか注意が行き届いていない領域などが朧気に判るようになる。これが武道でいうところの間合いとか隙とか言われるものである。この認知の様子は姿勢や体勢に微妙に反映しやすいもので、身体の苦痛なども何気ないモーションの狂いとして表れるものなのである。
これらの事には何も超常的な要素はなく、全て五感と観察力・認識力によるものである。
最後に4.であるが、これら1.〜3.の、光の加減や熱の放射、そして姿勢や表情や体勢といったトータルなイメージを最終的に脳で集約し情報処理した結果が視覚的イメージとして表れたもの、人間から発せられるトータルな雰囲気を視覚的に表現したモノである。
所謂オーラ視で見た時には、雰囲気が立派で光り輝いて見える人や覇気があって他人を圧倒するような迫力のある人もいる一方で、病にかかっていて病巣の部分が暗く見える人もいる。これらは五感から来るイメージを処理し、最終的に視覚的イメージとしてまとめた脳の最終的な演算結果なのである*7
勿論イメージの処理は個人差が大きいので誰もがオーラという形で認識する訳ではないが、多くの人の場合は空間認知には視覚情報が強く関係しているので、通俗的なオーラのイメージと頻繁に結びつきやすいのではないだろうか。
以上が私の分類である、巷で『オーラ』として語られる要素は大体これらの中に入っていると思う。



人間の身体と精神の相関およびそれによって生じる生理学的・物理学的変化について現状では確かな客観的証拠は少ない。よって上記の文章にはあやふやなところが多く、今ひとつキレの悪い文章であるが、取りあえず備忘録として残しておくことにしよう。
(オーラが見えるなら、あなたは霊能者ではないかもしれない:了)

*1:あるいは屈折率の変化も関係しているかもしれない。

*2:「トンデモ超常現象99の謎」と学会著、洋泉社、1997年、181ページ。

*3:http://wwwsoc.nii.ac.jp/islis/sjis/journalJ/abst11J.htm の中の2題。一方、患者の方は『気』を受ける部位の表面温度が上がる、との事。

*4:このページによると、気功師の手からは電気や磁気も放出されているそうだが、そうすると血液中のイオンとか赤血球中の鉄分なども関係してくるのだろうか?何れにせよ今後の研究に期待。

*5:アストラル界での作業後に身体の確認をするのは、この心の中の身体イメージがアストラル界での作業によって実際の肉体とズレる為、その修正をするのが目的である。

*6:パーソナルスペースは固定されたものではなく人間の注意力に応じて形が変化する。例えば、前方の見える明るい場所ではパーソナルスペースは前方に偏るが暗い場所ではほぼ円形になる事が実験的に判っている。

*7:所謂オーラセラピー(http://www.genpaku.org/skepticj/auratherapy.html)で読み取られる病気の兆候とはこのようなものであろう。良い医者が患者を見ただけで診断出来るのは当に訓練された観察力の賜である。