Tweiiter of Hocuspocus_Mage The Starry Abode

せっくすの日の魔術修行

明日の夜から明後日の朝にかけては、国民的行事であるせっくすの日である。
男女のカップルが将来の子孫繁栄を願ってせっくすをし、子供達が居る家庭ではせっくすによって生まれて来た事を祝ってケーキを食べたりプレゼントを渡したりするのが習わしである。
元々は北欧のユール即ち冬至の行事が起源であるが、冬至を祝う際に南瓜を食べるだけでは飽き足らない現代日本人にとっては今や欠かせない行事である。折しも日本の人口の自然減が明らかになった今年は、光を失った冬至の太陽が再び甦るが如く、日本の再生を目指して国民一人一人のより一層の奮励努力が求められるであろう。
だが魔術志願者である私は、たとえ非国民と言われようと、せっくすの日でも魔術修行をせねばならない。
明日の訓練はプラトヤハーラとダーラナーが主な科目だ。
まずは映画館へ行き、『ハリー・ポッター』の入り口に並ぶ幸せなカップルや家族連れを横目に見ながら『キング・コング』のチケットを大人1人分買う。現世の幸せに惑わされず己の意志を貫く自制心を養うのだ。次に、ピーター・ジャクソン監督の「『指輪物語』で稼いだ金を全部注ぎ込んででも好きな映画を撮ってやる」という心意気、及び決して結ばれぬと判っている美女との悲劇の愛に命を捧げるキング・コングの生き様について3時間強の観想を行う。トイレにも行かずにひたすら集中して上記の事に想いを馳せねばならない。
それが終わったら、次はファミレスに行き、再び幸せなカップルや家族連れを横目に見ながら『The Will』の儀式を執り行う。大いなる業を達成すべく、自制心と共に己の肉体を養うのである。・・・スパゲッティにしようかな・・・。
ああ、魔術修行の何と辛い事か・・・