Tweiiter of Hocuspocus_Mage The Starry Abode

『びんちょうタン 1巻』 江草天仁著 BLADE COMICS*7

2chの漫画板で評判だったので買ってみた。
「泣いた」とか書かれていたのが、予想とは違ってひたすら乾いた笑いを交えたストーリーが淡々と4コマ調で続いて行く。それを淡々と読んだ。
泣かなかった。いや泣けなかった。気が付くと、夕飯前で空腹の筈なのに何も感じていない。食べようと、いや動こうとする気すら起こらない。ただただ淡々と、ページを繰ってびんちょうタンの視点で世界を眺めている。
無理矢理自らを奮い立たせて無為の安楽の泥沼から這いずり出し、冷蔵庫から取り出した牛乳を口の中に流し込む。空っぽの胃に液体が流れ込む感触によって胃壁が急に空腹を思い出したかのようにうねる。鬱状態だ。
・・・びんちょうタンの目線で見た世界、それは私が子供の頃に見ていた、いや今も時折見ている、光と、憧れと、見えない壁によって他人と隔てられた拒絶感と疎外感*1、そして変えようのないそれらのモノに対する諦念に満ちた淡々とした光景。びんちょうタンの場合は両親の不在と貧乏が原因で、私は多分アスペルガー*2(後述)、という違いはあるのかもしれないが、結果として見ているモノは一緒だ。
1巻にはブレイドに連載される前の『プロトタイプびんちょうタン』も収録されているのだが、それを見る限りでは今後のストーリーの中で、この巻に登場した『ちくタン』や『くぬぎタン』達とお友達になるフラグが立っていくようだ。彼女達との触れ合いによって、びんちょうタンが、この淡々とした陰鬱な光景の外を眺めることが出来るようになることを、本気で願っている。
・・・以上、30過ぎの脂ぎったキモイおっさんのイタい感想でした。

*1:恐らくそれは、己と他者の、それぞれに対する本能的な反応に対する過敏反応なのだと思う。

*2:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%82%AC%E3%83%BC%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4