『偽りの自我』について
W.E.バトラーの本に『偽りの自我』という言葉が頻繁に出てくる。それによればまるで『偽りの自我』は魔術修行者の霊的な進歩を妨害する為に存在しているようであり、『逆向き瞑想』などの修行によって破壊せねばならないもののように記述されている。
だがしかし、バトラーの本を鵜呑みにして自分の魔法修行が上手く行かないのを『偽りの自我』の所為にしている魔法修行者が目の前に居たとしたら私は
と私の郷里の英雄、直江兼続のAAの如く一喝するであろう。
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『偽りの自我』さんが今までお前に何をしてきたか判っているのか、お前が生まれてからずっとお前を見守り支え続けてきた恩人に対して何たる無礼な奴であろうか、恩を仇で返すとはこの人非人め、・・・などと止めどもない説教が一晩続くに違いない。
ダイエットが難しいのは、食料が無くなった時に備えて体に栄養を蓄えておく為の体の防衛機能と生存本能に反するからである。ダイエットの失敗によって体のバランスが崩れると、最悪死に至る場合もある。
『偽りの自我』もまた、精神と脳の防衛機能であるが故に、制御が困難なのである。そしてその制御の失敗には大きな精神的危険が伴う。*1
魔術修行とは、自由への道であっても安全・安心への道ではない。平穏安穏の道を求めるものは魔術の門を叩く無かれ。真の自由はリスクと引き替えでなければ得られない、という覚悟の持ち主のみが歩めるものなのだ。
*1:ここでは『偽りの自我』の機能が何であるのかは敢えて述べない。もうちょっと科学的根拠を調べられたらまとめてみる事にする。
