Tweiiter of Hocuspocus_Mage The Starry Abode

友人の死

オカルト現象や神秘思想にハマる奴のパターンなんか昔からミエミエだぜ。社会性や協調性に乏しく、現実世界と折り合いをつけるのが困難で、内向的で書物の世界に閉じこもりがちで、友達も少ないくせに自己顕示欲だけは人一倍あり、やたらと「自分は特別な存在」と思いたがって、でっちあげの即席オカルト理論武装で「全て目に入るものは高次元からのメッセージ」と思い込み、何でも自分の都合の良いように解釈して、誰からも傷つけられないように幾重にも重ねた複雑な妄想で自己をていねいに包んで守り続け、ひたすら高次元からの救いの手を待ち望む……コイてんじゃねえよ馬鹿野郎!*1

先日、友人が亡くなった。
作家でもあった彼の死については色々と語る人も居るが、彼の作家としての側面にはあまり興味がない*2私には、彼の友人であった作家の弔辞*3以上の事は言えない。
それでも敢えて語るのは、私のWebページに書いたオカルト業界の裏事情の多くが彼から伝え聞いた事だったからだ。
彼とは某団体の公開イベントで知り合った。何度かイベントにお邪魔する内にフランクな話が聴けるようになったが、サブカル雑誌の編集者であった彼は精神・薬物系のアンダー・グラウンド・カルチャーの事情通でもあり、色々と興味深い話を沢山話してくれた。といっても、四角四面なモラリストがその場に居たら星一徹の如く血管を浮き上がらせてちゃぶ台をひっくり返すような、やや自虐的で露悪的なブラックジョークを交えての会話であったが・・・*4
例えばこんな感じだ:
私「えーと、まあ、ここの団体の代表のAさんのような方は、多分、恐らく、例外として除くとしてですね・・・ハッキリ言ってオカルト雑誌のライターの九割は基○外じゃないでしょうか?」
彼「九割なんてもんじゃないよ!九割九分!みんな基○外ばっかりだ!」
私「九割九分ですか・・・やっぱりそうですか・・・そうですよね!」


当時の某団体の雰囲気として、テクニカルに作り出せてしまうオカルティックな幻影に囚われず、その「先」を追求したい、という共通認識があったように思える。
しかし、そんなストイックな雰囲気を「当然」と思っていた慢性厨二病患者の私に、オカルト業界の駄目駄目で或る意味「人間的」な事情をユーモラスに教えてくれたのが彼だった。お陰でオカルトと人間の関わりについての見方がかなり多面的になったと思う。


私が彼から受け取ったものに対する恩返しをする前に、いや、そんな事すら意識する前に、彼は逝ってしまった。
親しい人の死の後で、それ以前に意識することのない何か取り返しの付かない負債があることに、初めて気が付く。私が間抜けで図々しくも鈍感な人間であるという事実の認識だけが何度も繰り返される。
そのやり場のない思いを、自分が受け取ったものをホンの少しでも他の人たちに還元する行為に向けることが、せめてもの手向けになるだろうか・・・身勝手ながら、そう信じたい。

*1:http://ruffnex.oc.to/100/02/000.html

*2:彼の著作も宝島のムックに載っていた文章くらいしか実物は持っていない。

*3:http://www.osawa-office.co.jp/cgi/view_weekly.cgi?id=1B747A8EB6EGA4C91692&imageField.x=24&imageField.y=13 「◎弔意◎」の項を参照。

*4:まさに冒頭の引用文のような感じだ。彼の作家としてのWebページにある文章を読み返すと、内容も言い回しも一緒で、昔の彼の言動がそのまま甦るようだ。