Tweiiter of Hocuspocus_Mage The Starry Abode

『うつうつひでお日記』吾妻ひでお著 角川書店*8

腐っても鯛、壊れても天才あじま先生である。
売れっ子漫画家であった全盛期から次第に『壊れて』いく過程を淡々と描いたストーリー漫画がベストセラーになった『失踪日記』ならば、こちらは『壊れた』後のリハビリの期間の日常を淡々と描いた日記漫画である。
この本を読んだ人の多くが指摘している事だが、鬱でクスリを大量に飲んでいる状況にも関わらず大量に本を読み、僅かながらも仕事を続けている。その結果がこうして商品に耐えうるクオリティのモノになっている、という事は凄い。そういう事を自然に出来るのが才能というものなのだろうが、少なくとも、日常をルーチン化することで努力を少しずつ継続していく事が出来るようになっている、という事は言えるかもしれない。ある意味、クロウリーが『第四の書』の第1部に書いていたような隠遁生活に近いだろう。
人間、歳を取ると何らかの形で『壊れて』いくものだ。私も実例を2、3見たがその度に「時の流れとは残酷なものだ」と痛感させられる。あじま先生の場合は壊れたのが50歳より前で家族の助けもあったので復活できたが、孤独な老後を迎える事が半ば決定している私は50過ぎて倒れたら間違いなくアウトだろう。
今の自分の仕事ではやや難しいが、薬に頼らなければならない位壊れる前に、自分の性質に合った知的生産の為の生活スタイルを作っておかねばならない。
・・・仕事辞めて引き篭もりになるのが一番手っ取り早いかな?