Tweiiter of Hocuspocus_Mage The Starry Abode

政=祭り事

最近2ちゃんの魔術スレッドを読んで思った事を、10/9のエントリに書こうと思って書きそびれた事を交えて書こう。あんまり個人批判めいた真似はしたくないので出来るだけ一般論として述べたいと思う。個人ではなく日本人の政治的傾向みたいな一般論で。
2ちゃんの魔術スレッドで、いわゆる『嫌韓』的主張をされていた人の特徴として、以下のような事柄が上げられると思う。

  • 己の主張は正しいのでみんな聞くべきであると思っている。
  • 正しいと思っているので、所構わず己の主張をまくし立てる。
  • ウザいと思って注意する人間を反対勢力の人間と見なす。
  • やたらと「仲間同士の協力」を訴え、反対意見に対しては「仲間割れをしてはいけない」と封じにかかる。

2ちゃんでは他にも『嫌韓』的主張を見るが傾向は大体一緒だと思う。更に集団として見ると・・・

  • やたらと煩い割には、他人に話を聞いて貰う為の努力も他人を動かす為の努力も何もしない。
  • 集団で群れて匿名性の影に隠れ「正しい事をしないお上が悪い」と騒ぐだけの無責任体質。

ホントに全共闘世代のウザい親父共にそっくり。どう見ても左翼小児病です。本当にありg(ry
60年代の安保闘争後にノンポリの時代が来たように、このままだと嫌韓も韓流と同じく一過性のものとして忘れられていくだろう*1。政治的に行動せねばならぬ時に、ウヨもサヨもお互いを非難しつつやってる事は何十年経っても全く一緒で、しかも両方とも殆ど無意味で無駄、というのは情けないのを通り越して笑うしかない。
というか、これが日本の伝統なんだろう。『政』は『祭り事』。不平不満があったら兎に角みんなで集まってお上(神)のところで騒ぐ。運が良ければお上(神)がお慈悲を下さるが、運が悪ければ(天)罰が下る。問題は何も解決しないかもしれないが、兎に角集まってみんなで騒げばみんなでやったという達成感だけは残る(若しくは、上手く行かなかったのは祭りに出なかったヤツらの所為だ!となる)。そして後の事は綺麗さっぱり忘れる。後かたづけが大変な時は、有能で責任感ある人がみんなの尻ぬぐいをしてから腹を切って全てを納めてくれる*2。「ああ、あの人はみんなの為に死んでくれた。神様になったんだ。」そして新たなお祭りが増える・・・恐らく二千年以上前から、そして現代でも今風に形を変えてあちこちで見る事が出来る、麗しくも美しい精霊崇拝社会ニッポンの姿。ホルスのアイオンなんてとんでもございません、イシスのアイオンをベースにオシリスのアイオンの風味を加えた年代物でございます。
10/9のエントリで紹介した本に書いてあったイングランド議会の『剣線』のエピソード*3が象徴しているように、政治とは本質に文明的な喧嘩、生きる為のリソースを奪い合う生存競争なのである。酒場で政治の話が禁じられるのは酒場で喧嘩をしてはいけないというマナーと本質的に同じだからである。
失敗したら酷い目にあう喧嘩と、みんなで騒げば結果は伴わなくてもOKのお祭りでは意識が違いすぎる。喧嘩は己の存在をかけて行うものであって、己の失敗は即、己の身に返って来る。一方、お祭りの結果で誰かが死んでも、それは神様の思し召し、で終わって誰も責任を取らない。充分に準備して喧嘩にやってきた集団とお祭りに集まった集団では、後者が勝てる見込みは殆ど無い。そして無責任集団の中で誰かがうっかり責任を感じてしまえば、生贄として捧げられるだけだ。今の日本政府の弱腰八方美人外交と無責任体制は、そういう日本的文化の負の側面の現れであると思う。
8/19のエントリで紹介した本に書いてあったように、集団がその力を充分に発揮する為には集団の構成員各自がその個性を発揮する事が必須条件である。各自が責任を持って己の領分を支える事で、集団は単なる寄せ集め以上の力を発揮する。個を明確にする為には、誰が何をして結果はどうだったのか、という事をハッキリさせる事が必要だ。それによって、その人の周囲には、コイツには○○を頼める、という信頼が出来てくる。そういった個々の間の信頼が組み合わさり、更なる信頼の強化を経て、力を持った集団が育っていく。人を動かしていくのはそういった実行力に裏付けられた信用の力と、そしてインセンティブ*4
リアル社会だと色々と難しい問題はあるが、ネットワーク上の言論ならば比較的社会的制約を受けずに活動できる。一貫したペンネームで継続的に前向きな発言していくだけでも、多少の信用を作る事は出来る。ネットワーク上で「○○を変えたい」と騒いでいる人達は、喧嘩に本当に勝ちたいならば、先ずはそういう地道なところから手を付けていくべきであろう。いつまでも『お祭り』気分では勝てる筈がない。

*1:唯一の救いは、嫌韓の方が後腐れがなさそう、という事かな。60年代の安保闘争は外国から怪しい援助があったりリアル社会でのオルグとか粛正をやってたりしたんで、色々とややこしい事が沢山あって、未だに内ゲバで死ぬヤツが出る。しかし、嫌韓の方はネット上で粛正活動やっても死人が出る事はあんまりなさそうだ。

*2:ノーベル賞受賞者級の物理学者になると期待されていた山本義隆は、60年代安保闘争の尻ぬぐいの為に逮捕され、その後アカデミックな世界を捨てて予備校講師になった。それでも素晴らしい著書を発表出来るのは才能だなあ・・・

*3:剣を抜いても斬り合いが出来ない距離まで論争相手を隔てる為の線がイングランド議会の床に描いてある。白田秀彰著『インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門』ソフトバンク新書p49参照。

*4:インセンティブで人を誘導する為にはコストと戦略が必要だ。